5月のはじめ、有志による鍼の勉強会を行いました。内容は「安全な頚肩部の刺鍼の仕方」です。
鍼というと痛くて怖いというイメージが付きまといますが、今日一般的に使われている鍼の太さは髪の毛くらいと非常に細く、切った刺したの痛みはほとんど感じません。また注射と違って中空にはなっていない、いわばただのワイヤーですので、組織が付着することもなく、出血もほとんどありません。勿論シングルユースで使い捨てです。
鍼による痛みが出るとするなら皮膚に刺す瞬間ですが、その際に鍼用の管を皮膚に一緒に当てながら行うことで、痛みを感じなくしています。 痛みの感覚と触れる感覚を一緒に与えてあげると、痛みの感覚が弱まるのです。どこかに身体をぶつけた時、ぶつけた箇所を擦ると痛みが和らぎますよね。”いたいのいたいのとんでいけー!”あれと同じ原理です。
頚肩部は腰と並んで特にコリの訴えが多い部位で、こちらへのアプローチの方法を身に着けておくことは、我々、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師(通称”あはき師”)には必須で求められる技術です。
筋肉というのはいくつかの層になっています。そのため、表層からでは届きにくい深い場所にコリが埋まっている場合には、そこに直接アプローチすることが出来る鍼による治療が、最も迅速に効果を発揮することが出来ます。コリの場所と深さを見つけて、そこをどう良くするのか。ここが”あはき師”の腕の見せ所です。
安全な刺鍼のためには、鍼先の位置を把握しておくことが重要です。鍼先がどこにあるかわからない。これが一番リスクになります。今回は、後頚部から側頚部、また肩上部に対する刺鍼の練習を行いました。写真では少し分かりづらいですが、鍼を刺した方と反対側の皮下で、鍼先の位置を左中指で確認しながら刺鍼を行っています。
今回のやり方では、コリを見つけたら、まずはそこを貫くように鍼を刺します。そして鍼先の場所がわかって安全が確認出来れば、あとは深度を変えてコリがある深さに鍼先を留めてあげると、より治療効果があがります。
ツボは教科書では2次元で表わされますが、実際のコリは3次元的に存在します。どの方向、深さ、角度に鍼を刺すのか。ここに技術が必要なのですね。
また今回はあくまでも練習でしたが、せっかくですのでより治療効果を上げるためお灸も併用しました。
お灸にもたくさんの種類がありますが、今回使用したのは、火の使わない、煙の出ないお灸です。シールを剥がして気になる箇所にペタッと貼るだけ。非常にお手軽なお灸ですので、試してみたい方は是非ご連絡ください。
技術の向上には、練習あるのみ。今後もこのような勉強会、また施術者同士での練習の機会を増やしていきたいと考えています。
2021.05.26